今後の労働基準法改正で論点となるポイントと勤怠管理システムの実務対策
2026/1/14
近年、働き方は大きく変化し、フレックスタイム制、テレワークなど多様な働き方が一般化しました。一方で、労働基準法は約40年前の枠組みが中心となっており、現代の働き方に十分即した制度とはいえない状況が続いています。働き方が多様化・複雑化したことで、企業の勤怠管理にはこれまで以上に柔軟な仕組みが求められるようになりました。
こうした背景を踏まえ、国では労働基準法の抜本的な見直しに向けた議論が進められてきました。連続勤務日数の上限規制や勤務間インターバル制度、割増賃金の取り扱いなど、企業の勤怠管理に直結する論点が含まれている点が大きな特徴です。
なお、これらの見直し案については、現時点(2026年1月時点)では、直近の通常国会への法案提出は見送られています。
しかし、有識者会議等で示された論点そのものが否定されたわけではなく、今後の法改正議論に引き継がれる可能性が高い内容と考えられています。
本記事では、これまでに示されてきた見直しポイントを整理し、人事労務担当者が押さえるべき勤怠管理への影響、そして勤怠管理システム RocoTime を活用した実務対応の方向性を分かりやすく解説します。
【ご注意】本記事で紹介している内容は、これまでの政府・審議会等における労働基準法見直し議論をもとに整理したものです。現時点(2026年1月時点)では、直近の通常国会への法案提出は見送られていますが、検討された論点は今後の法改正議論に引き継がれる可能性があります。実際に制度化される時期や具体的な内容については、今後の動向により変更される点をご留意ください。
見直し議論の内容とポイント解説

労働基準法の見直しに向けた議論では、働き方の多様化・複雑化を背景に、現行制度では対応が難しくなっている課題について整理が進められてきました。ここでは、勤怠管理に特に影響が大きいと考えられる7つのポイントを取り上げ、各項目の狙いや制度的な意義を中心に整理します。
【7つの主要ポイント】
- 勤務間インターバル
- 連続勤務の上限設定
- 法定休日の事前明確化
- 週44時間特例の廃止
- つながらない権利
- 有休賃金の統一化
- 副業・兼業の通算ルール見直し
勤務間インターバル
終業時刻から次の始業時刻までに、一定時間の休息を確保する仕組みです。現在は努力義務ですが、健康被害の防止や睡眠時間の確保が課題となる中、制度化へ向けた議論が進んでいます。海外では11時間以上を義務とする国も多く、日本でも国際基準に近づける方向性が示されています。
連続勤務の上限設定
連続勤務は 13日以内(2週間に1日は必ず休み) とする方向で検討されています。これは、過度な連続勤務が心身に負担をかけることを踏まえ、労災認定基準においても強いストレス要因とされる点を考慮した措置です。従業員の健康を守るため、連続勤務日数の上限は重要な指標となります。
法定休日の事前明確化
法定休日を事前に特定し、法定外休日と明確に区別して管理する案が検討されています。この背景には、休日労働の割増賃金の扱いを巡るトラブルが少なくないという現状があります。特に、シフト制や変形労働時間制など休日が週ごとに変わる勤務形態では、「どの日が法定休日なのか」が曖昧になりやすく、その結果、企業と従業員の認識が食い違い、法定休日労働として扱うべきかどうか、割増賃金をどう計算するかといった点で誤りが生じやすくなります。
こうした問題を防ぐため、法定休日をあらかじめ定め、休日労働の判断基準と割増計算の根拠を明確にしようとするものです。
週44時間特例の廃止
商業・保健衛生業など、一部の特例業種に認められている法定労働時間を週44時間とする特例を廃止し、40時間に統一する方向で検討されています。
特例業種でも週40時間制が一般的となり、特例を設ける必要性が薄れていることが背景にあります。
つながらない権利
勤務時間外や休日に、従業員が業務連絡に応答しなくてもよいとする考え方です。デジタルデバイスの普及により、テレワークやモバイルワークが増え、勤務時間と私生活の境界が曖昧になったことを背景に注目されています。欧州ではすでに法制化が進んでおり、日本でも「働く時間の切り離し」を明確化する形で制度化を目指す議論がされています。
有休賃金の統一化
年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金(有休賃金)について、算定方法を整理・統一する方向で議論が進んでいます。
現在、有休賃金の算定方法には、
(1)平均賃金(直前3か月間に支払われた賃金総額を基に算出する方法)
(2)通常の賃金(所定労働日に勤務した場合に支払われる賃金)
(3)標準報酬日額(社会保険の標準報酬月額を基に算出する方法)
があり、企業ごとに採用方法が異なります。そのため、賃金体系によって支払額に差が生じることがあります。特に、日給制や時給制の労働者は、(1)と(3)の方式を用いる場合、有休取得時の賃金が実労働日に比べて低くなるケースがあります。
算定方法を(2)の通常の賃金に統一することで、有休取得の公平性を高めることが目的とされています。
副業・兼業における通算ルールの見直し
副業・兼業の広がりを踏まえ、労働時間の通算ルールの在り方について見直しが検討されています。現行制度では、複数の事業場における労働時間を原則通算し、法定労働時間を超えた分は割増賃金の支払いが必要です。しかし、この仕組みは、副業・兼業を受け入れる企業側の管理負担が大きいことが課題となっていました。
見直し議論では、労働者の健康確保の観点から、労働時間の通算自体は引き続き維持されます。その上で、割増賃金については通算の対象外とする議論がされています。これにより、長時間労働の把握や健康管理はこれまでどおり行いながら、割増賃金の算定については各事業場で判断する考え方に整理されます。この見直しは、健康確保と制度運用の現実性を両立させることを目的としています。
見直し議論が勤怠管理に与える影響とは?

労働基準法の見直し議論は、単に制度を追加・変更するものではなく、勤怠管理の考え方そのものを見直すことを企業に求める内容となっています。これまで「集計できていればよい」「事後チェックで足りていた」勤怠管理から、事前に防止し、継続的に監視する管理へと役割が大きく変わります。
以下では、議論内容を踏まえ、勤怠管理システムにどのような影響が及ぶのかを整理します。
労働時間の管理方法の変化
管理方法のルールの見直しにより、単に自社内の労働時間を集計するだけでは不十分となります。日々の労働時間だけでなく、連続性・休息・週単位でのバランスを含めた管理が前提となり、勤怠管理システムにはより多角的な時間管理が求められます。
勤務間インターバルを守るためのチェック体制
勤務間インターバルに関する制度整備が進んだ場合、「前日の終業時刻」と「翌日の始業時刻」の関係を正確に把握し、必要な休息時間が確保されているかを継続的に確認する体制が重要になります。
個別の勤務実績を人手で確認する運用では、見落としや判断のばらつきが生じやすく、制度遵守を担保することが難しくなります。そのため、勤務間インターバルの確保状況を客観的に把握し、早期に把握できる仕組みが、勤怠管理システムに求められるようになります。
連続勤務日数のチェックとアラート
連続勤務の上限(13日以内)が明確になることで、勤務日数の「連なり」を管理する視点が欠かせなくなります。単月・単週の集計ではなく、月や日をまたいだ勤務実績を横断的に把握し、上限に近づいた時点で警告アラートを出すなど、予防的な管理が求められます。
これは勤怠管理システムにおいて、「その月に何日出勤したか」ではなく「何日連続で勤務しているか」を正確に把握できるか、という点に直結します。
法定休日の管理と事前明示
法定休日の事前明確化が求められることで、法定休日と法定外休日を明確に区別して管理できる仕組みが重要になります。
どの日を法定休日として扱うのかをシステム上で固定・明示できなければ、休日労働の判断や割増賃金計算に誤りが生じやすくなります。勤怠管理システムには、休日区分を前提とした集計・判定の正確性が求められる方向性です。
シフト作成時における制度違反の予防
シフト制や交替制の職場では、勤務間インターバルや連続勤務の上限を「結果として守る」のではなく、「組む段階で守る」ことが重要になります。そのため、勤怠管理システムには、シフト作成時点で以下のような機能が求められます。
- 連勤チェック
- インターバル不足の事前検知
制度違反の可能性を事前に把握できる仕組みといった、運用を支援する機能が求められるようになります。
小まとめ:勤怠管理システムに求められる役割の変化
今回の見直し議論を通じて、勤怠管理システムには「記録・集計」だけではなく、「予防・統制」へ という役割の転換が求められています。
次章では、こうした変化に対して、勤怠管理システム RocoTimeがどのように対応できるのかを具体的に解説します。
勤怠管理システムRocoTimeでできる法改正対応

労働基準法の見直し議論が進む中で、勤怠管理に求められる要件は大きく高度化しています。こうした変化に対して重要となるのは、制度変更に柔軟に対応できるシステムであること、そして運用を現場に定着させられる支援体制があることです。
勤怠管理システム RocoTime は、500以上の設定パラメータを持つ柔軟な設計と、法改正対応の実績を積み重ねてきたシステムです。制度の趣旨を踏まえながら、企業ごとの運用に合わせた対応が可能です。
勤務間インターバルへの対応機能
勤務間インターバル制度に対して、勤怠管理システム RocoTime では、現在以下の機能を備えています。
実績登録・申請時のインターバルアラート
実績の申請や登録時に勤務間インターバル時間を自動で判定し、必要な休息時間を確保するための次回出勤可能時刻をアラートとして表示します。
実績入力の段階で気づけるため、事後修正に頼らない運用が可能です。
退勤打刻時のメール通知
退勤打刻時に勤務間インターバルを考慮し、次回の出勤可能時刻を記載したメールを自動送信します。
従業員自身が休息時間を意識しやすくなり、セルフケアの促進にもつながります。
インターバル時間レポート(実績確認)
勤務間インターバルの確保状況を一覧で確認できるレポートを出力できます。
個別確認に頼らず、全体傾向やリスクのある勤務を把握できます。
勤務割表(シフト・勤務予定)での事前チェック
シフトや勤務予定を組む段階で、インターバルが確保されていない場合にアラートを表示します。
「実績で是正する」のではなく、「予定段階で防止する」運用を支援します。
これらの機能により、実績管理・予定管理の両面から勤務間インターバルを支える仕組みを実現しています。
労働時間・36協定管理への対応
労働時間規制や36協定の遵守は、引き続き重要な論点です。
勤怠管理システム RocoTime では、
- 36協定に基づく時間外・休日労働時間の集計
- 上限に近づいた際の事前アラート
- 超過状況の可視化
といった機能により、上限規制への対応を「事後確認」ではなく「事前に防ぐ」管理を支援します。
年次有給休暇管理と法改正への対応力
年次有給休暇についても、今後の制度見直しを見据えた管理が求められます。
勤怠管理システム RocoTime では、
- 年次有給休暇の付与管理
- 使用状況・消化状況を確認できるレポート
など、有休管理に必要な機能を備えています。
将来的な運用ルールの変更にも、柔軟な設定変更で対応できる点が特長です。
データ活用・外部提出を見据えたエクスポート機能
企業外部への情報開示や説明責任の重要性も高まっています。
勤怠管理システム RocoTime では、
- 多様なデータエクスポート機能(CSV形式)
- Excel形式でのレポート出力
により、社内分析だけでなく、行政対応・労使説明・監査対応にも活用できるデータ基盤を提供します。
小まとめ:法改正に「耐える」だけでなく、「活かす」勤怠管理へ
勤怠管理システム RocoTime は、単に法改正に対応するためのシステムではなく、制度の趣旨を現場に落とし込み、無理なく運用できる仕組みを支える勤怠管理システムです。
次章では、この記事のまとめとして、今から準備しておくべきポイントを整理します。
まとめ

労働基準法改正案をめぐる議論では、勤怠管理を「記録・集計するもの」から、違反や健康リスクを未然に防ぐための仕組みへと進化させることを、企業に求める方向で議論が進められています。
勤務間インターバルや連続勤務、休日の明確化など、いずれも事後対応では十分とは言えず、日々の運用の中で予防的に管理できる体制づくりが重要になります。
こうした変化に備えるためには、法案成立を待ってから対応するのではなく、早い段階で影響を整理し、自社の勤怠管理体制を見直しておくことが不可欠です。制度の内容を正しく理解し、それを確実に運用へ落とし込めるかどうかが、今後の実務対応の成否を分けるポイントとなります。
勤怠管理システムも、単に現行制度に対応しているだけではなく、法改正にも柔軟に対応できる設計や運用支援の実績があるかが、これまで以上に重要になります。勤怠管理システム RocoTime は、これまでの法改正対応の実績を踏まえ、企業ごとの運用に合わせた柔軟な設定や継続的なサポートを強みとしています。
制度が変わる時代だからこそ、勤怠管理を「負担」ではなく「安心」に変える仕組みを選ぶことが、企業と従業員双方にとって大きな価値となります。
これからの勤怠管理の在り方を考える一助として、勤怠管理システム RocoTime を検討してみてはいかがでしょうか?
勤怠管理システム RocoTime(ロコタイム)が解決します
業界・業種、社員数の規模を問わず、 日本の商慣習を網羅した 高機能な勤怠管理システムです。
勤怠管理システムの導入をお考えの企業様は、ぜひご相談ください。
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