
導入事例
「2つの現場が1つの会社に」。
親会社の垣根を越えた勤怠管理の再構築
製油パートナーズジャパン株式会社 様
- 業種
- 植物性油脂製造
- |インタビュー|
-
代表取締役 総務部長 瀧本 和哉 様(写真右)
総務部 管理課長 濵﨑 春樹 様(写真左)
導入のポイント
-
「上司と部下で勤怠管理システムが
違う」運用の非効率を解消RocoTime導入で全社員の勤怠情報を一元管理。上司による承認・確認もスムーズに。
-
親会社の就業ルールをまたいで
柔軟に設計事業所それぞれの勤務条件に対応しながら、統一的な勤怠管理の枠組みを実現。
-
複雑な連携は避け、
必要な情報をスマートに提出親会社とのデータ連携はCSV形式で統一。負担なく確実な報告体制を構築。
社の技術と人材を結集し、新たな製油事業のカタチを構築。
勤怠管理システムも体制に合わせて見直しへ
製油パートナーズジャパン株式会社は、日清オイリオグループ株式会社と株式会社J-オイルミルズの共同出資により、2023年10月に設立された合弁会社です。
国内における搾油産業の安定供給と競争力の確保を目的に、両社が保有していた西日本の生産拠点を統合し、油・ミール(油粕)の製造を一体運用する体制を築きました。同社は両親会社それぞれ異なる制度基盤で育った人材が協力し合いながら、一つの組織としての運営が進められています。
そうした中で、設立後の実務運用が本格化するにつれ、「今の体制に合った勤怠管理の仕組みが必要だ」という声が現場からあがるようになりました。設立以降、親会社それぞれの勤怠管理システムを継続利用していたため、複数システムの併用による承認の煩雑さや、勤務条件の違いによる集計の手間など、運用面の負荷が浮き彫りになってきたのです。
「就業ルールの違いは尊重しつつ、よりスムーズに管理できる方法はないか」。そうした課題意識をもとに、新たな勤怠管理システムの選定がスタート。その中で浮上したのが、勤怠管理システムRocoTimeの導入という選択肢でした。

導入前の課題
「上司が承認できない」「勤務条件が違う」複数ルールの中で進んだ日々の運用調整
勤怠管理をめぐる課題は、現場のさまざまな場面で顕在化していました。
製油パートナーズジャパン株式会社では、設立以降、日清オイリオグループとJ-オイルミルズが運用していた勤怠管理システムをそのまま使用していたため、社員ごとに異なるシステムを利用する状況が続いていました。
濵﨑様「同じ課の中でも、上司はJ社のシステム、部下はN社のシステムというケースがありました。そういう場合、上司が部下の勤怠をシステム上では直接承認できないのです。代理承認者を立てて対応していましたが、別途、勤怠管理者である上司との連携を図る必要がありました。
加えて、勤怠データの集計業務も手間がかかっていました。各システムから出力されるExcelデータを人の手で突き合わせる形で集計しており、締め処理後の確認や修正が月末以降に集中しがちでした。また、登録内容に対するチェックも後追いで発生し、どうしても事後対応型の運用になりがちでした。作業負荷も大きく、ミスも起こりやすい状態だったと思います。」
さらに就業ルールの面でも、設立当初では所定労働時間や休日数、年間所定労働時間などは親会社の規定をもとに事業所ごとに設けられており、上司・部下の勤務地の違いによって勤務条件にズレが生じるケースもありました。
濵﨑様「合弁会社という経緯もあり、1社2制度の部分を残しながら運営を開始しました。しかし実務を進めてみると、勤怠管理の理想とうまくかみ合わない部分が出てきます。『このままではきちんと管理できない』という課題認識が、現場や管理部門で共有されていきました。」
こうした運用の複雑さや勤務条件のズレを放置すれば、労務リスクの見逃しや管理負荷の増大にもつながりかねないー。
製油パートナーズジャパン様では、就業ルールの整備に着手する一方、管理レベルや管理効率の向上を図るため、自社勤怠管理システムの検討を開始しました。

課題の解決策
制度を変えるだけでなく、制度を活かす。複数ルールを1つのシステムに落とし込むアプローチ
自社勤怠管理システムの検討を行う上で製油パートナーズジャパン様が重要視したのは、「就業ルールに異なる部分があっても、共通の基盤で管理できる仕組み」を確保することでした。
異なる就業ルール、現場ごとの勤務体系。それ自体は尊重しつつ、ひとつの勤怠管理の枠組みに収めるための検討が始まります。
濵﨑様「まず、就業ルールの整備と勤怠システムの設計を並行して進める方針としました。スピード感を重視したところもありますが、『就業ルールの整備結果いかんに関わらず、受入れ可能なシステム基盤』というのが理想であり前提でした。
就業ルールについては、年間の所定労働時間など、一本化を前提とした項目を置く一方、1社2制度を踏襲する部分や給与計算に必要なデータ作成などについては、「どこからどこまでをシステムで吸収するか」を整理の上、RocoTimeのパラメータ設定で対応可能な仕組みとしました。」
システム利用の入り口にも設計上の工夫があります。会社ごとに初期設定や管理マスターを分けることで、異なる就業ルールに対応しつつも、申請・承認・集計などの実運用は共通の仕組みで処理されるよう統一されています。
さらに、ログイン後の画面構成や申請経路に分岐条件を設けることで、ユーザーである社員が迷わず使えるような導線が整えられました。
濵﨑様「RocoTime導入時には、NSPさんから『あえて会社別に入り口を分けて設計した方が後々ラクになる』という提案がありました。システムを無理に一枚岩にせず、使いやすさを保ちながら統一を図るというアプローチですね。実際、その方法は非常に理にかなっていたと感じています。」
制度をねじ曲げてシステムに合わせるのではなく、制度を尊重しながら、運用に適した仕組みで支える。
その考え方こそが、製油パートナーズジャパン様の解決策の根幹でした。

RocoTime導入の決め手
“現場に寄り添った仕組みをつくる”という発想
複雑な就業ルールのなかで、製油パートナーズジャパン様が勤怠管理システムに求めていたのは、「現場の実態にフィットし、制度の違いを吸収できる柔軟な設計思想」でした。
濵﨑様「NSPさんの提案は、『現場のあり方を尊重しながら丁寧に構成していく』という姿勢が一貫していて、“後々、旅館の増築のようなカスタマイズ地獄”にならずに済む、という安心感がありました。
初期提案の段階からNSPさんでは、『どこに運用負荷がかかるか』『どこを設計上吸収できるか』といった観点を徹底的に精査。将来的な仕様変更や業務拡張も見据えた設計方針が示されており、導入前から運用後までを通した支援体制が評価されました。
RocoTimeが備える500以上のパラメータ設定も、当社就業ルールの実情や親会社からのニーズに対応するうえで大きな強みとなりました。
また、クラウド型でありながら給与データ出力や親会社提出用のフォーマット対応など、必要な連携や形式にもカスタマイズで柔軟に対応可能な点も重要な評価ポイントでした。
さらに、法改正や就業ルールの見直しがあった場合にも、都度カスタマイズするのではなく、標準機能の範囲内で柔軟にアップデート対応ができる点も、長期的な視点での安心材料となっています。」
柔軟性と安定運用の両立―。そのバランスを具体的に設計・提案できたことが、RocoTimeの導入につながりました。

導入効果
勤怠の「見える化」と「統一運用」で、労務管理の質と生産性を両立
RocoTimeの導入により、製油パートナーズジャパン様では、複数の就業ルールを尊重しながらも、ひとつの勤怠管理システム上でスムーズな運用を実現する体制が整いました。
現場での効果:日常運用の混乱が解消
濵﨑様「以前は同じ組織内でも利用している勤怠管理システムが分かれており、上司が部下の勤怠を直接確認・承認できないケースがありました。今は、一元的に勤怠を把握・承認できるので、現場の業務もスムーズに進むようになりました。
Excelによる集計や代理承認といった煩雑な対応は不要になり、リアルタイムでの勤怠状況の確認が可能になったことで、月末の締め処理後に発生していた確認や修正の作業も減少し、運用は事後対応型から即時確認・管理型へとシフトしています。」
管理部門での効果:労務リスクの抑止と情報活用の精度向上
RocoTimeに標準搭載された各種レポート機能の活用により、勤怠情報は人事部門・現場管理者・経営層それぞれが必要な視点で把握できるようになりました。
瀧本様「過重労働や申請漏れ、申請誤りといったリスクへの気付きが早まり、労務管理の質も向上しています。勤怠の実態と記録が早期に一致するようになったというのが最も大きな変化ですね。今どうなっているかが見えているというだけで、安心感が全然違います。管理の精度が上がったことで、働き方そのものにも良い影響が出てきていると感じます。」
親会社との連携:手間なく正確にデータ提出
瀧本様「報告業務においても、RocoTimeから出力されるデータをそのまま親会社向けのExcelフォーマットに整えて提出できるため、手作業や調整にかかっていた時間が削減されました。提出の正確性とスピードの両立が実現しています。」
頼りになったNSPの導入支援
導入中の支援:適切な課題抽出と管理
濵﨑様「NSPさんは現行運用などのヒアリングをもとに適切に課題抽出し、対応方法についても親身に提案いただけました。解決すべき課題が明確となり、対応状況も随時共有していたため、安心して導入を進めることができました。
瀧本様「仕様を決めるうえで判断に迷ったとき、NSPさんのアドバイスがとても参考になりました。的確なアドバイスのおかげで、導入後の運用がスムーズになったこともありました。」
導入後の支援:運用中も安心できるNSPのサポート体制
濵﨑様「NSPさんのサポートはレスポンスが非常に早く、困ったことがあればすぐに相談できる環境があるのは心強いですね。システムを導入して終わりではなく、日々の運用にも並走してくれる安心感があります。」
瀧本様「新システム導入後の運用開始時には、それなりの混乱が生じると覚悟していましたが、全くと言っていいほどトラブルは発生しませんでした。NSPさんが早い段階で課題を発見してくれていたので、稼働前にしっかりと準備ができていたのだと思います。」
制度と運用のすき間を埋めるRocoTimeの柔軟な仕組み。そしてNSPの豊富な知識と顧客を理解していることによる的確な提案とスピード感。その力が着実に現場に浸透し、製油パートナーズジャパン様の働き方と組織運営に、持続的な変化をもたらし始めています。
今後の展望
「次世代型搾油工場」構築への布石として、勤怠管理基盤のアップデートは始まったばかり
RocoTimeの導入によって、製油パートナーズジャパン様の勤怠管理は大きく前進しましたが、同社の取り組みはこれで完結したわけではありません。
瀧本様「今回の取り組みは基盤づくりという意味での第一歩です。勤怠管理の仕組み自体は整ってきましたが、データの連携やレポートの整備など、今後さらに見直しが必要な点もあります。運用を続ける中で、定期的に現状を見直しながら、段階的にアップデートしていきたいと考えています。現時点では、親会社2社の給与システムと直接のデータ連携は行っておらず、製油パートナーズジャパン側で勤怠データを整理して提出する形が続いています。この運用は、過剰な仕様変更やコストの増大を避けつつ、必要な情報を確実に提供するという現実的な判断に基づいたものです。
現在の仕組みでも十分に運用できていますが、将来的には連携性を高めることで、さらに業務の負荷を下げられると考えています。とはいえ一気に進めるのではなく、現場の実態に合わせながら段階的に取り組むことが重要だと思っています。」
瀧本様「次世代型搾油工場”を目指すには、現場の働き方をきちんと支える情報基盤が不可欠です。RocoTimeは、単なる勤怠の記録ツールではなく、働き方そのものを支えるインフラとして活躍し始めています。」
今後も製油パートナーズジャパン様は、業務プロセスの見直しやデータ活用の高度化を視野に入れながら、運用と仕組みのアップデートを着実に進めていく方針です。
NSPはその歩みにこれからも伴走していきます。
製油パートナーズジャパン株式会社
- 設立
- 2023年10月
- 所在地
- 〒712-8071 岡山県倉敷市水島海岸通三丁目2番地
- 出資比率
- 日清オイリオグループ株式会社 50%、株式会社J-オイルミルズ 50%
- 事業内容
- 搾油事業(大豆・菜種などの油糧種子を原料とした、食用油の搾油および油粕の製造)
- 特徴
- 日清オイリオグループ水島工場とJ-オイルミルズ倉敷工場の搾油工程を統合し、両社の搾油受託を一手に担う
